造幣局 七宝章牌 歌舞伎の紹介(2006)

造幣局 七宝章牌 歌舞伎七宝章牌
七宝章牌 歌舞伎

 七宝章牌 歌舞伎は、伝統芸能を題材にしたシリーズ、能楽(能・狂言)、人形浄瑠璃文楽に続く第3作品目にあたります。

前2作の能楽(能・狂言)、人形浄瑠璃文楽と共に、ユネスコの世界の無形遺産保護の一環である「人類の口承及び無形遺産の傑作」(無形文化遺産)に登録されているものです。(無形文化遺産の登録は、2001年能楽、2003年人形浄瑠璃文楽に続き、2005年に歌舞伎が登録されております)

七宝章牌は、七宝焼きの色に見られる美しさと七宝の盛り上げによる奥行きの深みが素晴らしい作品になっております。

七宝賞牌 歌舞伎の仕様や図柄、彩色、デザインについてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝章牌 歌舞伎の仕様

章牌の図柄と仕様
章牌の図柄と仕様
材質:純銀(品位証明マーク入り)
直径:60mm
重さ:約160g
仕上:七宝・金メッキ

付属の栞による説明

『平成17年11月に人類の口承及び無形遺産の傑作(世界無形遺産)として宣言された、演劇、舞踊、音楽の要素を併せ持ったわが国独自の伝統芸能である「歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)」を記念し、これを題材に「歌舞伎七宝章牌を製造販売することとしました。』

七宝章牌 歌舞伎の図柄(外観)

歌舞伎の表面
歌舞伎(表)
【表】
 芝居絵「勧進帳」より武蔵防弁慶を黒・白・赤・桃・薄青・紺の全6色の七宝で表現しています。
歌舞伎の裏面
歌舞伎(裏)
【裏】
 日本の伝統である麻の葉模様を背景に「歌舞伎」とローマ字の「Kabuki」の文字をデザインしています。

時流に乗った!?勧進帳

化粧箱の内
Cloisonne Pure Silver Medal “Kabuki”

七宝章牌 歌舞伎のデザインには、歌舞伎の演目より「勧進帳」の武蔵坊弁慶の絵柄が採用されておりますが、なぜ勧進帳の一幕が図柄に採用されたのでしょうか?

歌舞伎の時代物の代表作である『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』は、三大名作とも呼ばれますので、この辺りを題材にしてもよかったようにも思います。

では、なぜ勧進帳なのか?

私なりに紐解いてみると、七宝章牌 歌舞伎の販売前年にその流れがあったのでは?

章牌販売の前年は2005年になりますが、この年のNHK大河ドラマは『義経』でした。
義経役をジャニーズの滝沢秀明さんが主演しておりますが、当時22歳での主演は大河ドラマの最年少ということもあり、注目度の高いものでした。

この大河ドラマ『義経』にも「勧進帳」の舞台である、安宅(あたか)の関の物語が放映されますが、その当時の放送日が2005年11月27日、第47回放送のものになります。

一方、歌舞伎の無形文化遺産登録も2005年の出来事ですが、主催のユネスコが「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」(傑作宣言)を行った日が、2005年11月25日のことになります。

少し日付を整理してみると、

2005年11月25日に歌舞伎が、無形文化遺産に登録。
2005年11月27日の『義経』が、安宅の関の放映日。

無形文化遺産登録の翌々日の義経の放送が「安宅の関」(勧進帳)の回であったのは、単なる偶然だと思いますが、勧進帳のデザインの選考は時流に乗った?というのことはあるかもしれません。

※能や狂言を歌舞伎に取り入れた演目「松羽目物」の初めての作品である「勧進帳」は、歌舞伎の代表作の一つになりますので、いくつかある代表作品の候補の中から選ばれた。というのが実際のところかもしれません。

七宝章牌 歌舞伎の採色について

歌舞伎の表面
彩色
黒・白・赤・桃・薄青・紺 の6色。

水衣の黒を基調とした彩色になりますが、篠懸(すずかけ)や着付けの赤・桃・薄青が粋を感じさせます。
また、紺は水衣の梵字の部分に使用されております。

※梵字(ぼんじ)は古代インド文字のこと。水衣の模様に用いられた文字は不動明王を表す梵字になります。

七宝章牌 歌舞伎の図柄(解説)

歌舞伎の表面
勧進帳より
月岡芳年の作品『勧進帳』より、元禄見得

この図柄に採用されている一幕は、弁慶と冨樫の丁々発止の山伏問答の後の「元禄見得」を決めた形であり、元になった芝居絵は、月岡芳年の作品『勧進帳』によるものです。

※月岡芳年(つきおかよしとし)は、幕末から明治前期にかけて活躍した浮世絵師。

月岡芳年の芝居絵と見比べると篠懸や翁格子の着付けの柄や色使いなど忠実に再現し、弁慶の力強い表情も上手く表現されております。

着付けの柄の細かい部分は、七宝の釉薬の盛り付けに繊細な技術が求められると思いますが、見事な仕上がりに目を見張るものだと感じました。

歌舞伎の表面
浮彫りの様子

丁寧な七宝の盛り。

歌舞伎の表面
顔の表情

細部の作りも見事。

背面のデザイン

歌舞伎の裏面
麻の葉文様

背面は、大麻の葉をあしらった麻の葉文様になります。

歌舞伎の裏面
造幣局製刻印

造幣局製刻印は、背面下部に。

七宝章牌 歌舞伎の販売価格について

2006年(平成18年)に販売された価格は、125,000円(税込み、送料込み)。

発売当時の2006年の銀相場を振り返ると、1グラムあたり50円前後で推移しており、2005年は1グラム30円前後でしたから高騰をしていった時期でもありました。

しかし、前年度に発売された人形浄瑠璃文楽の価格が120,000円でしたので、今回大幅な値上げがなかったとも言えると思います。
これは、原材料の銀(地金)の調達が高騰の前であった為だと思われます。

また、当時の販売予定数量は500個でした。
「申込多数の場合は抽選となります。」の但し書きがありましたので、販売数は500個であったと思われます。(以降の七宝章牌の多くが500個の販売予定数)

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付取引価格
2022/0530,000円
2022/0539,800円
2022/0332,588円
2022/0238,000円
2021/1137,125円
2021/0639,580円
2021/0440,000円
2021/0135,000円
2021/0342,799円
2021/0144,000円
2020/0230,500円
2020/0135,000円
2019/0630,600円
2018/1040,500円
2018/0527,500円
2017/0725,500円
2017/0121,100円
2017/0125,200円
2016/0917,000円
2016/0920,035円
2016/0626,000円
2016/0629,100円
2016/0125,000円
2015/1127,500円
2015/1133,000円
2015/0726,000円

直近で確認できたところはこの26件でした。
販売数が限られていますので、市場に出回ることも多くはありません。
また、コイン商などが販売しているケースもありますが、稀で価格が高め設定。大体50,000~60,000円程度の販売価格で見かけます。

なお、「勧進帳」の本来の意味は、寺院、仏像等の建立などに必要な修繕費などの寄付を募る際に述べる口上を記した原稿のようなものです。勧進の部分が、寄付(寺、仏像の建立修理の資金集め)を意味しています。
七宝章牌つながりで、歌舞伎の演目「勧進帳」を観に行ってみるのも楽しめそうです。

七宝章牌歌舞伎のケース
漆塗り特製ケース

今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

タイトルとURLをコピーしました