造幣局 七宝章牌 群青富士の紹介(2013)

造幣局 七宝章牌 群青富士 七宝章牌
七宝章牌 群青富士

 造幣局製の七宝章牌はこれまで、伝統芸能と日本の祭りを題材として販売されておりました。

本作は七宝章牌(2003年以降発売)の中では初めてとなる『美術作品』が題材となりました。
また、これまでの七宝章牌では円形の記章が模られてきましたが、本作では四角の記章となっております。

七宝賞牌 群青富士の仕様や図柄、彩色、デザインについてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝章牌 群青富士の仕様

メダルの図柄と仕様
メダルの図柄と仕様
材質:純銀
縦 43mm、横 100mm
重さ:約240g
仕上:七宝・金メッキ仕上げ

付属の栞による説明

『この七宝章牌は、横山大観(1868~1958)作の「群青富士」を題材に、5色の七宝による豊かな色彩と繊細な技法を用い、製造いたしました。』

七宝章牌 群青富士の図柄(外観)

群青富士の表面
群青富士(表)
【表】
 章牌の図柄は、富士山と残雪を群青色と白色、木々が生い茂った山々の様子を緑色と茶色、そして周囲に沸き立つ白雲の色合いの変化を、微妙な凹凸をつけた下地の上に白色の透け七宝を施すことにより表現しています。
群青富士の裏面
群青富士(裏)
【裏】
 艶消し無地の金メッキ仕上げになっております。

造幣局製の美術を題材とした七宝作品について

造幣局製の美術を題材としたの七宝作品は、本作以外にもいくつか出されています。

  • 七宝文鎮 唐獅子図(狩野永徳作)
  • 七宝文鎮「飛天」(法界寺・国宝)
  • 七宝文鎮 扇面楓図(酒井抱一作)
  • 七宝文鎮 燕子花(尾形光琳作)
  • 七宝入 風神図文鎮(俵屋宗達作)
  • 七宝入 雷神図文鎮(俵屋宗達作)
  • 七宝入 松島図文鎮(俵屋宗達作)
  • 七宝入 草花図文鎮(俵屋宗達作)
  • 七宝入「吉祥天像」文鎮(薬師寺・国宝)
  • 七宝入「牡丹図」文鎮(狩野山楽作)
  • 「赤富士」七宝入り銀章牌(葛飾北斎作)

※()書きは原図の作者等。

材質は純銀と丹胴に分かれますが、出回っている品は丹胴を使用した品が多いようです。

また、上記の多くは貨幣大試験の記念品として製作された品のため数が限られていると思います。
美術を題材とした新作の七宝作品はあまり出されていないとは思いますが、今後の販売に期待しております。

七宝章牌 群青富士の採色について

群青富士の表面
群青富士
群青、白(残雪)、緑、茶、白(雲部分:透け七宝) の5色。

雲部分に白の透け七宝が使われており、雄大な雲海の色合いを絶妙に醸されております。

群青富士の表面
雲海の色合い

七宝章牌 群青富士のデザイン(解説)

群青富士の表面
横山大観作『群青富士』

横山大観作『群青富士』

絹地に彩色を施した絹本着色の技法で描かれた六曲一双屏風。
七宝章牌では、左隻の緑青と右隻の群青の全体像をデザインしております。

この作品の妙味は立体感を表現する凹凸にあり、残雪の富士と新緑の山々、もくもくとした雲海に遠近感が見られる点。

富士は遠くに山々は近くに。

白の透け七宝で表現した湧き上がる白雲も素晴らしい出来栄えと思います。

なかなか写真では伝わりにくい部分ではありますが、手元で直に見ると作品の奥深さがよく伝わるものだと思われます。

群青富士の表面
富士山

背面の金地と白雲に浮かび上がる富士山。

群青富士の表面
左隻の緑青

限られた色彩の中でも鮮やかさを感じさせる不思議さ。

群青富士の表面
湧き上がる白雲

浮彫りにより白雲の様子が絶妙に描かれています。

背面(艶消し無地)

群青富士の背面
艶消し無地

背面は、艶消し無地の金メッキ仕上げ。章牌下部に造幣局製刻印が入っております。

群青富士の背面
造幣局製刻印

七宝章牌 群青富士の販売価格について

2013年(平成25年)に販売された価格は、128,000円(税込み、送料込み)。

これまで販売されてきた七宝章牌と価格帯は変わりませんが、章牌の重さは240グラムと他のものと比べて1.5倍あります。
銀の地金としての価値は、2013年当時の銀相場が1グラム70円前後で推移していたことを考えるとやや価格は抑えられていると言えるでしょう。

しかし、本作は七宝に使われる彩色が5色と少なめであること、章牌のケースがベロア地のものであることから、その他の部分で経費を削減していたものと思われます。

(この他の七宝章牌の作品では、七宝の彩色に6または7色。ケースは漆塗り木製ケースを採用されています)

なお、当時の販売予定数量は500個でした。
「お申し込み状況によっては、数量を変更する場合があります。また、販売予定数量を超えたときは、抽選とさせていただく場合があります。」の但し書きがありましたので、数量は販売予定数を前後している可能性があります。

※造幣局HPの販売情報には、抽選に関する記載は見当たりませんでしたので、少なくても大幅に数量が超過することはなかったものと思われます。

群青富士の化粧箱
ケース外観

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2024/04 51,000円
2023/12 50,000円
2023/12 52,000円
2023/12 51,000円
2023/11 51,000円
2023/09 52,000円
2023/07 42,200円
2023/05 51,000円
2023/05 51,058円
2023/04 52,100円
2023/04 52,008円
2023/03 47,273円
2022/11 45,555円
2022/11 51,800円
2022/10 46,200円
2022/09 47,510円
2022/08 58,020円
2022/05 56,100円
2022/01 38,000円
2021/04 55,100円
2021/01 40,000円
2020/11 32,495円
2020/10 31,500円
2020/10 38,000円
2020/09 34,000円
2020/09 31,500円
2020/09 32,000円
2020/08 45,500円
2019/10 47,000円
2020/06 63,000円
2020/03 69,000円
2018/10 27,502円
2018/06 27,110円
2018/06 16,000円
2018/06 27,500円
2018/06 65,000円
2018/02 34,000円
2017/11 25,000円
2017/10 38,500円
2017/05 46,000円
2017/01 38,000円
2016/04 31,000円

直近で確認できたところはこの41件でした。

最安値で16,000円という取引価格がありましたが、これは破格だと思います。(地金の価格より安い※2024年5月時点)
かなり価格にばらつきはありますが、平均すると約45,000円くらいが実売価格と言えそうです。

群青富士の化粧箱
外箱

今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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