造幣局 七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の紹介(2004)

造幣局 七宝章牌 人形浄瑠璃文楽七宝章牌
七宝章牌 人形浄瑠璃文楽

 七宝章牌 人形浄瑠璃文楽は、伝統芸能を題材にしたシリーズ、能楽(能・狂言)に続く第2作品目にあたります。

前回制作された七宝章牌の能楽(能・狂言)と共に人形浄瑠璃文楽についても、ユネスコの世界の無形遺産保護の一環である「人類の口承及び無形遺産の傑作」(無形文化遺産)に登録されているものです。

由緒正しいと言うべき作品かと思いますが、章牌のデザインを一目見た時の印象は、ややふくよかな梅川(女性の絵柄)と思ったものです。しかしこれもよくよく見れば、題材を精緻に表現されたものでした。

七宝賞牌 人形浄瑠璃文楽の仕様や図柄、彩色、デザインについてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の仕様

メダルの図柄と仕様
メダルの図柄と仕様
材質:純銀(品位証明マーク入り)
直径:60mm
重さ:約160g
仕上:七宝・金メッキ

付属の栞による説明

製品仕様書
製品仕様書
『平成15年11月に人類の口承及び無形遺産の傑作(世界無形遺産)として宣言された、わが国の人形芝居を代表とする伝統芸能である「人形浄瑠璃文楽」を記念し、これを題材に「人形浄瑠璃文楽七宝章牌」を製造販売することとしました。』

七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の図柄(外観)

人形浄瑠璃文楽の表面
人形浄瑠璃文楽(表)
【表】
「野宮」 演目「冥途の飛脚(作・近松門左衛門)」より梅川・忠兵衛の文楽人形を、黒・白・赤・紫・濃紫・緑の全6色の七宝で表現。
人形浄瑠璃文楽の裏面
人形浄瑠璃文楽(裏)
【裏】
 日本の伝統文様である「七宝紋」を背景に「文楽」及び「Bunraku」の文字をデザインされています。

章牌の題材である「人形浄瑠璃文楽」について

世界無形遺産貨幣セット
文楽-壇浦兜軍記(世界無形遺産貨幣セットより)

「文楽」は七宝章牌の栞の説明にもあるように、わが国の伝統的な人形劇であり、約400年続く伝統芸能の通称です。

人形浄瑠璃文楽 名前の由来

「人形浄瑠璃文楽」ですが、いくつかの単語を組み合わせた名称になっており、これらを紐解くと

人形/浄瑠璃/文楽 となり、浄瑠璃はさらに浄・瑠璃に分けることができます。

人形は、人形劇を表しており、
文楽は、もともと人形劇を上演する劇場の名前でした。(1790年頃に植村文楽軒が大坂に建てた人形芝居小屋。明治になって文楽座と称したことに基づく。(正確に言えば創建者又は劇場の名前から由来))

浄瑠璃は、三味線伴奏における語る音曲の総称と言われておりますが、元を正せば仏教用語になります。

「浄」は、清らかなことを表し、
「瑠璃」は、宝石の青いサファイア、ラピスラズリの和名として知られます。

また、浄瑠璃と言えば「浄瑠璃浄土」という仏教用語があり、薬師如来が司り、この世に生きる者の病苦を除き安泰を与えている場所とも言われます。

現代における浄瑠璃は、三味線伴奏による語り物とされますが、その元になる書物は室町時代に広く民衆に広まった御伽草子「浄瑠璃十二段草子」であり、通称「浄瑠璃物語」と呼ばれます。
この物語は、牛若丸と浄瑠璃姫との恋を綴ったもので、浄瑠璃姫の名前は両親である三河の国司夫婦が薬師如来に祈願して授かったことからこの名を付けられております。

浄瑠璃は遡ればこのようなつながりの元、現在の三味線伴奏の御曲とされ、人形・浄瑠璃・文楽を組み合わせた名称が『人形浄瑠璃文楽』であります。

仏教でいうところの「七宝」について

さて、瑠璃というのは仏教でいうところの「七宝」に属するもので、「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も磨けば光る」のいろはかるたをご存知の方もいるかと思います。玻璃もまた七宝の一つです。

仏教における七宝

  • 瑠璃・・・ラピスラズリの和名。青色の玉。
  • 玻璃・・・クリスタルの和名。
  • しゃこ・・・シャコ貝に代表されるような美しい貝殻。
  • 珊瑚
  • 瑪瑙(めのう)

※仏教はいくつかの宗派に分かれておりますので、経典によっては真珠などが含まれる場合があります。

七宝章牌に見られる七宝焼きは、必ずしも上記に倣い制作されるわけではありませんが、これらの七宝と呼ばれる美しいものを焼きつけるとして「七宝焼き」と名付けられております。

七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の採色について

人形浄瑠璃文楽の表面
彩色は主に着物に使用
黒、白、赤、紫、濃紫、緑 の6色。

忠兵衛の着物を紫、濃紫で表現し、梅川の着物を赤、柄の部分に濃紫、緑、白で見事に表現されています。

七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の図柄(解説)

世界無形遺産貨幣セット
世界無形遺産貨幣セット
人形浄瑠璃文楽の演目である「冥途の飛脚」の一幕。

章牌のデザインには、人形浄瑠璃文楽の演目である「冥途の飛脚」の一幕が用いられております。

上記の写真は、七宝章牌に先駆けて販売された貨幣セットのカバーになりますが、ちょうどこの一幕が用いられているようです。
この一幕は、忠兵衛と梅川の逃避行の道行、相合駕籠(あいあいかご)でのものかと思います。(おそらくです。もしくは一つ前の場面、封印切を知った梅川が忠兵衛にすがり付く場面かもしれません)

人形浄瑠璃文楽の表面
梅川の表情

私の第一印象は、ややふくよかな梅川。と感じたものですが、元になる一幕と見比べると精緻に再現されているのがわかります。

人形浄瑠璃文楽の表面
忠兵衛の表情

忠兵衛の表情や梅川の口元、鬘の結いと髪飾り、一部乱れた髪のしなだれ方に着物の柄など。忠実に精緻に再現されております。

章牌の限られた空間と6色の釉薬を存分に使って制作された見事な七宝作品だと言えると思います。

人形浄瑠璃文楽の表面
七宝の盛り

七宝が丁寧に盛られているのが分かります。

人形浄瑠璃文楽の裏面
浮彫り

七宝紋の柄に文楽の字体が浮彫りによりくっきりと。

人形浄瑠璃文楽の裏面
造幣局製刻印

背面下部には「造幣局製」の刻印。

七宝章牌 人形浄瑠璃文楽の販売価格について

人形浄瑠璃文楽の表面
人形浄瑠璃文楽(表)

2004年(平成16年)に販売された価格は、120,000円(税込み、送料込み)。
※販売については、2004年12月申込開始、2005年1月以降の発送となっておりました。

この価格は現在までに販売された七宝章牌の中でも一番価格の安いものでした。

発売当時の2004年の銀相場を振り返ると、1グラムあたり25円前後で推移しており、章牌の重さが160g程と考えると地銀としての価値は、約4,000円程度。
銀の調達価格が高くつくものではなかったと思われます。

また、当時の販売予定数量は100個とされていましたが、『申込多数の場合は、販売数を変更することがあります。』と記載があったものでした。
次作の歌舞伎では販売予定数量が500個に見直されていましたので、人形浄瑠璃文楽の売れ行きを参考にして販売数の見直しが図られたと推測すると、こちらも500個に近い数量の販売があったものと考えられます。

漆塗り木製ケース
漆黒の漆塗り木製ケース入

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付取引価格
2021/1045,455円
2021/0437,600円
2021/0244,000円
2021/0135,000円
2020/0230,500円
2020/0123,500円
2019/1139,000円
2019/1023,100円
2019/1034,500円
2019/0927,599円
2019/0623,200円
2019/0431,000円
2019/0422,050円
2019/0326,100円
2019/0231,000円

直近で確認できたところはこの15件でした。
販売数が限られているものですが、市場に出回ることは多い方だと思います。
昨今は価格が上昇傾向にありますが、40,000円前後が実売価格と言えるのかもしれません。

今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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