造幣局 国宝章牌 興福寺の紹介(2013)

造幣局 国宝章牌 興福寺 国宝章牌
国宝章牌 興福寺

 造幣局製の国宝章牌は、2007年(平成19年)より販売が開始され、貴重な国宝の文化財を章牌のデザインとしております。

本作は第七作目「興福寺」が題材に取り上げられました。

世界文化遺産に登録されていることでも知られる興福寺は、2010年に創建1300年の節目を迎えております。
仏像、典籍、古文書、絵画、工芸、そして建造物。数多の国宝、重要文化財を有する奈良の文化財は、本シリーズに相応しい題材と言えるでしょう。

国宝賞牌 興福寺の仕様や図柄についてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

※こちらで紹介する国宝章牌は、純銀製のものになります。

国宝章牌 興福寺(純銀)の仕様

章牌の図柄と仕様
章牌の図柄と仕様
材質:純銀(造幣局品位証明刻印入り)
直径:六十ミリ
重さ:約百六十グラム
仕上:銀いぶし仕上げ(表面)

以下、付属の栞による説明。

『国宝章牌は、貴重な国宝及びそれに付随する文化財をテーマにシリーズ化したもので、今回は、多くの国宝を有し、「古都奈良の文化財」として世界文化遺産に登録されている「興福寺」を選定しました。』
国宝章牌興福寺の表
阿修羅像
表:阿修羅像をレリーフ(浮き彫り)で表現しています。
国宝章牌興福寺の裏
東金堂及び五重塔
裏:東金堂及び五重塔をデザインし、上部に宝相華紋(ほうそうげもん)をデザインしています。なお、左側の宝相華紋は潜像により表現しています。

阿修羅像他の八部衆

国宝章牌興福寺の表
冊子

八部衆は、釈迦如来に仕え仏法を守護する8つの神とされますが、もとは古代インドの異教の神。8つの神は、鬼神・戦闘神・歌神・動物神などとされるものです。

  • 阿修羅像(あしゅらぞう)
  • 五部浄像(ごぶじょうぞう)
  • 沙羯羅像(さからぞう)
  • 鳩槃荼像(くばんだぞう)
  • 乾闥婆像(けんだつばぞう)
  • 迦楼羅像(かるらぞう)
  • 緊那羅像(きんならぞう)
  • 畢婆迦羅像(ひばからぞう)

本作品では、阿修羅像が表面のデザインに採用されておりますが、「修羅場」という言葉があるように、八部衆の中で最も知られている神と言えるでしょう。

※修羅場は、アシュラ神(阿修羅)とインドラ神(帝釈天)の凄惨な争いが行われた場所から由来しています。

国宝章牌 興福寺のデザインについて

国宝章牌興福寺の表
阿修羅像

章牌の表面は、乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)より阿修羅像がデザインされています。

実物である八部衆立像は、像高153.4cmの全身像になりますが、章牌には三面六臂の面容を中心に描かれました。

国宝章牌興福寺の表
表情

阿修羅像の表情は、一般的には忿怒(ふんぬ)の相であらわされますが、静かな怒りが伝わるかのような表情です。
眼をカッと見開くわけでなく、歯をむき出しにすることもなく、怒りで髪が逆立っているわけでもなく。真っ赤な炎が燃え盛るというよりは、蒼白い執念めいた炎がゆらめいているような印象は、阿修羅の云われからも間違いないのかもしれません。

国宝章牌興福寺の表
天衣や胸飾り、腕釧

また、上半身の天衣(条帛)、胸飾りと腕釧(わんせん)も丁寧に表現されており、加えて銀いぶし仕上げの表情が何とも深みを感じさせます。

国宝章牌興福寺の表
浮彫りの様子

背面のデザイン

国宝章牌興福寺の裏
東金堂及び五重塔

背面は、国宝の建造物より東金堂及び五重塔がデザインされ、上部に宝相華紋は左側に潜像加工が施されたものになります。

東金堂、五重塔は、建造物の細部まで線彫りされており、東金堂周囲の柵部分の線が細かく、また、内部も奥行きが伝わるような作りです。

国宝章牌興福寺の裏
東金堂
国宝章牌興福寺の裏
五重塔

二つの建物の構図もよろしく、拝観したことのある方は当時のことを思い起こさせるものでしょう。

国宝章牌興福寺の裏
宝相華紋

潜像のグラデーション化

国宝章牌興福寺の裏
潜像加工による宝相華紋

左側の宝相華紋は、潜像のグラデーション化が用いられておりますが、章牌(メダル)における初出は、「グラデーションメダル 外輪蒸気船」(2006年発売)でした。蒸気船の外輪部、煙突から出る煙、海の波を潜像で表現していたものです。

本作では、宝相華紋の見る角度によって、見え方が変わるというものですが、異なる模様が見えるわけではなく、模様に強弱がつき見え方が変わるといったものになります。

ホールマーク

国宝章牌興福寺の裏
造幣局ホールマーク

ホールマーク(造幣局品位証明刻印)は、背面下部に刻印されております。

国宝章牌 興福寺(純銀)の販売価格について

2013年(平成25年)に販売された価格は、24,000円(税込み、送料込み)。
販売予定数は、3,000個。

実売数に関しては公表はありませんが、定型的な銀加工に関して一般競争入札が行われております。
その数量の公募は、『2,500個(予定数量)』とありましたので、実売数も2,500個以内と考えられます。

フリマサイト、オークション等での実売価格(純銀製)

日付 取引価格
2022/05 18,500円
2022/05 19,800円
2022/05 17,820円
2022/04 16,500円
2021/09 23,900円
2021/08 21,010円
2021/07 23,174円
2021/05 24,080円
2021/04 25,000円
2021/04 20,700円
2021/04 25,522円
2021/04 25,512円
2021/02 24,500円
2020/11 17,800円
2020/09 25,500円
2020/08 24,500円
2020/07 20,000円
2020/06 17,500円
2020/06 21,000円
2020/05 17,000円
2020/03 17,500円
2020/03 17,500円
2020/02 18,000円
2020/01 16,300円
2020/01 17,500円

直近の取引価格は上記の通り。平均すると約20,000円くらいが実売価格と言えそうです。概ね他の国宝章牌の作品と変わらず、このシリーズの平均的な価格であると言えると思います。

国宝章牌興福寺の化粧箱
化粧箱

今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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