造幣局 第百九次製造貨幣大試験「七宝入 水滴」(崔氏玉座右銘)の紹介

造幣局 貨幣大試験 七宝入 水滴 貨幣大試験記念品
七宝入 水滴

 第百九次製造貨幣大試験の際に記念品として製作されたのが、「七宝入 水滴」になります。

蒔絵箱のような宝相華(花模様を組み合わせた唐草模様)を下地に空海の書として有名な「崔氏玉座右銘」を配します。

なお、第百九次の貨幣大試験の開催は、1980年。40年以上経た古い品になります。

七宝入 水滴の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

「七宝入 水滴」製品仕様

七宝入水滴仕様
七宝入水滴
材質:銅
直径:3.7cm(注ぎ口含まず)、高さ1.5cm
重さ:約57g
仕上:七宝・銀メッキ艶消し仕上げ

以下、付属の栞には以下のような文言が書かれています。

『この水滴の図柄は、空海筆と伝えられている草書「崔氏玉座右銘」(和歌山、宝亀院蔵)から採用し、地模様に菊唐草を配して当局の伝統的工芸技術により製作したものです。
(中略)
製作に当たっては、地金は銅を使用し、図柄を浮き彫りにしたうえに七宝を盛り、全体を銀メッキで仕上げてあります。』

空海筆「崔子玉座右銘」(さいしぎょくざゆうのめい)

水滴に書かれる草書は、弘法大師空海の書としても有名な

「崔子玉座右銘」(さいしぎょくざゆうのめい)

元の書は、中国後漢時代の政治家であり、文人でもある、崔瑗(字は子玉)の『座右銘』
これを空海が草書で書いたものとされておりますが、私達も面接などで聞かれやすい「座右の銘」の元になった書でもありますね。

水滴の草書は、『座右銘』の巻頭の十文字が刻まれており、

無道人之短(人の短を道無かれ)
無説己之長(己の長を説く無かれ)

人の短所を言ったり、自分の長所を自慢するものではない。という内容になり、まさに元祖「座右の銘」と頷くものでもあります。

なお、崔瑗が存命の後漢時代は三国志の時代と重なりますが、曹操、劉備、孫権らが活躍するより前の世代になります。(78年~143年の人物と言われています)

菊唐草模様に七宝、その上に座右銘

七宝入水滴の表面
七宝入水滴(表)

本作品は、地模様の菊唐草を浮き彫りにした上に七宝を盛られております。
加工済み金属の絵柄に釉薬を差し、焼成を経て、研磨、さらに座有銘を追加、焼成をさせたものと思われます。

昨今造幣局で販売される七宝章牌のような凹凸のある立体感は感じられませんが、書道具らしい空海の書は味わいあるものかと思います。

また、大きさは水滴らしく小ぶり。

七宝入水滴表面の表面
空海の書
直径3.7cm(注ぎ口含まず)
高さ1.5cm
重さ57g

写真で見るより実物はかなり小さいです。

なお、あくまで金属工芸品であり、収集し鑑賞や保管をされる方が多いかとは思いますが、水滴としても使えなくはありません。
ただ、作りを見てわかるように空気穴がありませんので、水を一滴ずつ注げるかはわかりません。(試してはいませんが、水差しのような感じになるのかもしれません)

七宝入水滴表面の表面
上蓋は固定

注水は容器に水を溜め、そこに沈めて充填させる様式。

背面

七宝入水滴の背面
七宝入水滴(背面)

背面および側面は、銀メッキされています。また、底面には「造幣局製」の文字が刻まれています。

40年も前の品のため、保管状態によっては表面に黒ずみが出るものもあるようです。

七宝入水滴の背面
造幣局製刻印

化粧箱

化粧箱
化粧箱

化粧箱は、外装がベロア生地、内装がベロアとサテン生地の一般的なものになります。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2022/12 3,300円
2022/11 1,700円
2021/05 5,750円
2020/04 4,502円
2019/07 15,800円
2018/10 300円
2018/05 810円
2017/05 2,000円
2017/02 3,000円
2016/10 3,000円
2015/12 1,000円

直近で確認できたところはこの11件でした。

やはり数が少ないため、入手機会が限られる品かと思います。
価格にばらつきはありますが、3,000円前後で入手可能な模様。
本作はなかなか渋い作品。造幣局の記念品の中でも変わり種だと思います。

以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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