第百二十一次製造貨幣大試験の際に記念品として製作されたのが、七宝入「辛夷と山鳩」章牌になります。
本作は、野鳥をテーマにされた作品になりますが、私が知るところでは今作が初回。以降の数年にわたり野鳥の七宝作品が貨幣大試験の記念品として製作されていたと思います。
七宝入「辛夷と山鳩」章牌の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。
七宝入「辛夷と山鳩」章牌製品仕様
付属の栞には以下のような文言が書かれています。
七宝入「辛夷と山鳩」章牌の図柄
おそらく、造幣局で創作された図柄と思いますが、辛夷(こぶし)の花と山鳩の調和のいいものと感じます。早春を感じさせる蕾や開花の様子と中央に静かに佇む山鳩の姿が美しく、山鳩を飾るかのような辛夷の花は、その眼前には添えず、山鳩の姿形が映えるかのような構図ではないでしょうか。伝統工芸品的らしさが伝わる作品でありました。
また、浮彫りの感じも水平に近い目線で見るとわかるものですが、中央の辛夷の花がやや盛り上がる作りで、その後ろに山鳩が木枝に止まっている様子を上手く段差を付けて表現しているのがわかります。正面から見たり、写真で見るとわかりにくい部分ではありますが、奥行きを感じさせるための工夫が細かい部分でしっかりなされており、ものの良さを感じさせるところと思います。
山鳩の羽の連なりや木枝の皺も作り込まれ、味のある作りではないかと感じます。
図柄背面の下地も単純な梨地仕上げではなく、屏風絵のような下地を感じさせる加工を施させているのがわかります。
山鳩の周囲に配置される辛夷との構図も見事。
大輪を咲かせた辛夷が華やかさを添える。
七宝入「辛夷と山鳩」章牌の採色
七宝は、白、グレー淡、黒、濃茶、深緑、赤橙、水紺透の七色になります。
実際のところ、普段目にする山鳩(キジバトやドバド)を思い浮かべると灰色と言いますか、薄い紫色のような印象がありますので、作品的な色使いなのだと思います。しかし、山鳩の頭頂部から背、胸から腹にかけての白色は、ややグレーな色を使われており、辛夷の花の白色との違いを持たせています。
また、喉を部分的に白色を用いたり、頬を青の透け七宝で彩色するなど、細かい部分の彩色の良さが伝わります。
背面
背面および側面は、金メッキ艶消し仕上げ。また、背面には「造幣局製」の文字が刻まれています。
化粧箱
化粧箱は、外装がベロア生地、内装がベロアとサテン生地の一般的なものになります。
フリマサイト、オークション等での実売価格
日付 | 取引価格 |
---|---|
2022/09 | 5,350円 |
2022/07 | 7,020円 |
2022/05 | 7,950円 |
2022/05 | 16,610円 |
2019/10 | 21,800円 |
2019/07 | 9,345円 |
2018/07 | 8,777円 |
2017/11 | 8,750円 |
2017/02 | 5,000円 |
2016/10 | 5,770円 |
2016/08 | 5,500円 |
2016/05 | 4,600円 |
直近で確認できたところはこの12件でした。
かなり古い品で、製造数も限られていたと思います。なかなかお目にすることがかないませんが、一万円以内で入手できればありがたいところだと思います。
以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)