第百二十一次製造貨幣大試験 七宝入「辛夷と山鳩」章牌の紹介

造幣局 貨幣大試験 辛夷と山鳩 貨幣大試験記念品
七宝入「辛夷と山鳩」章牌

 第百二十一次製造貨幣大試験の際に記念品として製作されたのが、七宝入「辛夷と山鳩」章牌になります。

本作は、野鳥をテーマにされた作品になりますが、私が知るところでは今作が初回。以降の数年にわたり野鳥の七宝作品が貨幣大試験の記念品として製作されていたと思います。

七宝入「辛夷と山鳩」章牌の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝入「辛夷と山鳩」章牌製品仕様

七宝入辛夷と山鳩仕様
七宝入辛夷と山鳩
材質:丹銅
直径:約7.0cm
重さ:約165g
仕上:七宝・金メッキ仕上げ

付属の栞には以下のような文言が書かれています。

『この章牌は、清潔な白い花を咲かせる辛夷と山の木霊のような深い声で鳴く山鳩とを組み合わせて、早春の山の風景を表現したものです。
 製作に当たっては、丹銅地金を使用し、図柄を浮彫りにしたうえに七宝を盛り、その他の部分に金メッキを施してあります。』

七宝入「辛夷と山鳩」章牌の図柄

七宝入辛夷と山鳩の表面
七宝入辛夷と山鳩(表)

おそらく、造幣局で創作された図柄と思いますが、辛夷(こぶし)の花と山鳩の調和のいいものと感じます。
早春を感じさせる蕾や開花の様子と中央に静かに佇む山鳩の姿が美しく、山鳩を飾るかのような辛夷の花は、その眼前には添えず、山鳩の姿形が映えるかのような構図ではないでしょうか。
伝統工芸品的らしさが伝わる作品でありました。

七宝入辛夷と山鳩の表面
立体感

また、浮彫りの感じも水平に近い目線で見るとわかるものですが、中央の辛夷の花がやや盛り上がる作りで、その後ろに山鳩が木枝に止まっている様子を上手く段差を付けて表現しているのがわかります。
正面から見たり、写真で見るとわかりにくい部分ではありますが、奥行きを感じさせるための工夫が細かい部分でしっかりなされており、ものの良さを感じさせるところと思います。

七宝入辛夷と山鳩の表面
山鳩

山鳩の羽の連なりや木枝の皺も作り込まれ、味のある作りではないかと感じます。

七宝入辛夷と山鳩の表面
木枝の皺と章牌の下地

図柄背面の下地も単純な梨地仕上げではなく、屏風絵のような下地を感じさせる加工を施させているのがわかります。

七宝入辛夷と山鳩の表面
辛夷

山鳩の周囲に配置される辛夷との構図も見事。

七宝入辛夷と山鳩の表面
辛夷の華やかさ

大輪を咲かせた辛夷が華やかさを添える。

七宝入「辛夷と山鳩」章牌の採色

七宝入辛夷と山鳩の表面
七宝入辛夷と山鳩(表)
白、グレー淡、黒、濃茶、深緑、赤橙、水紺透 の7色。

七宝は、白、グレー淡、黒、濃茶、深緑、赤橙、水紺透の七色になります。

実際のところ、普段目にする山鳩(キジバトやドバド)を思い浮かべると灰色と言いますか、薄い紫色のような印象がありますので、作品的な色使いなのだと思います。
しかし、山鳩の頭頂部から背、胸から腹にかけての白色は、ややグレーな色を使われており、辛夷の花の白色との違いを持たせています。

また、喉を部分的に白色を用いたり、頬を青の透け七宝で彩色するなど、細かい部分の彩色の良さが伝わります。

七宝入辛夷と山鳩の表面
山鳩と辛夷の花の白色の違い

背面

七宝入辛夷と山鳩の背面
七宝入辛夷と山鳩(背面)

背面および側面は、金メッキ艶消し仕上げ。
また、背面には「造幣局製」の文字が刻まれています。

七宝入辛夷と山鳩の背面
造幣局製刻印

化粧箱

化粧箱
化粧箱

化粧箱は、外装がベロア生地、内装がベロアとサテン生地の一般的なものになります。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2022/09 5,350円
2022/07 7,020円
2022/05 7,950円
2022/05 16,610円
2019/10 21,800円
2019/07 9,345円
2018/07 8,777円
2017/11 8,750円
2017/02 5,000円
2016/10 5,770円
2016/08 5,500円
2016/05 4,600円

直近で確認できたところはこの12件でした。

かなり古い品で、製造数も限られていたと思います。
なかなかお目にすることがかないませんが、一万円以内で入手できればありがたいところだと思います。

包装

以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

タイトルとURLをコピーしました