造幣局製の七宝章牌は、古くは伝統芸能を題材とした作品を制作され、現在は日本の祭りを題材に毎年販売されています。
七宝章牌は、七宝をあしらった美麗な作品に目を奪われますが、ケースについても他章牌やメダルとは一線を画す作りのものであります。七宝章牌のケースは、ツヤのある色味鮮やかな木製ケース。立派な作りであることはお持ちの方はご存知かと思います。
ただ、昨今の物価高の流れでしょうか、木製ケースの作りに変更があったようです。
七宝章牌ケースの変更点
2018年までの作品 | 油性漆塗り木製ケース入り |
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2019年以降の作品 | 漆風赤ツヤ塗装木製ケース入り |
造幣局の商品案内によると上記のように表記が変更されており、漆塗りから漆風塗装への変更がありました。
七宝章牌ケースは一般競争入札
七宝章牌ケースは一般競争入札で行われており、造幣局が公示し入札者の競争の結果、落札の流れとなります。このためケースの制作は造幣局内で行われているものではなく、落札された業者が製造、造幣局に納入という流れになっています。
直近の落札結果は、以下の通りです。※造幣局ホームページ記載の落札状況より。
落札決定日 | 数量 | 落札額(税込) | 落札者 |
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令和3年8月26日 | 550 | 3,781,250円 | 株式会社原口 |
令和4年7月14日 | 650 | 5,598,450円 | 株式会社原口 |
令和5年4月11日 | 650 | 6,006,000円 | 株式会社原口 |
1個あたりの単価を計算すると以下の通りです。
令和3年 -> 6,875円令和4年 -> 8,613円令和5年 -> 9,240円
直近でも年々価格が騰がっているのがわかると思います。また、私の手元のメモによると令和元年の落札価格が3,375,000円(税込・500個)でした。ここ2年で価格の調整が入ったとも言えると思います。
なお、落札者の株式会社原口は、東京都台東区にあるジュエリーケースの製造販売の会社になります。おそらく、これまで販売された七宝章牌のケースはこちらの会社が手掛けられてきたと思います。
七宝章牌ケースの見た目の違い
では、仕様変更前後で質感に違いが出ているのか見てみましょう。
上記、左奥と中央が油性漆塗り木製ケース入り、右手前が漆風赤ツヤ塗装木製ケース入り。色合いは、伝統芸能の作品では黒色が使われており、日本の祭りの作品には朱色が使われています。
サイズに関しては黒のケースの高さが若干低く作られており、朱のケースは同じサイズで作られておりました。
ケース内の比較
ケース内は特段の変化は見られません。何かしら創意工夫があるかもしれませんが一見ではわからないものでしょう。
(赤)油性漆塗りと漆風赤ツヤ塗装の比較
正直なところ漆独特の質感や光沢と合成塗料による風合いの違いは感じられる程はありません。これらは経年の変化によっても違いが見られる部分かもしれませんが、数年程度であるため変化を感じることも難しいです。
素地となる木製ケースの作りや下地の整え方は変わらず、塗料による違いがどこまで出るかというところと思いますが、合成塗料でも質感を損なわない顔料の調合や重ね塗りに高い技術を用いられているのだと思います。
変更点まとめ
外見は相当な有識者でない限り、ほとんど変化に気付くのは難しいくらいではないかと思います。また、漆塗りから漆風の変更はありましたが、価格についてはむしろ高くなってきているくらいです。塗料の変更で価格を抑えているという程の話ではないのでしょう。おそらく、経年の変化の違いは少なからず出るのかもしれませんが、手元にお品が届いた時点ではほとんど見分けがつかないくらいの出来であるのは間違いないと思います。
個人的には、漆塗りから漆風の変更に少しがっかりした気持ちもありましたが、手に取って見ればそれはわからないくらいでした。
七宝章牌の過去作品と令和元年以降の作品をお持ちの方は、確認してみるのも興味深いかもしれません。