地金で資産運用を考えている方は、主な運用対象が金になると思われます。安全資産とされる金の人気は昔から変わらず根強いと思いますので。
とはいえお高いのも事実。
小金持ちの方がようやく手を出せるのが金で、そこまでの余裕資金がない方は、手が出しづらいと思います。(私がそう)
そこで、個人的なオススメが、銀貨や純銀のメダル。延べ棒、延べ板と言わないところはデザインなども好きだから。それから、先物などの金融商品に疎い場合は、現物で手に入れやすいというのもありますね。
趣味的要素もふんだんに込められていますが、案外いいんじゃないか・・・と。では、趣味じゃなくて資産運用的にどの辺がいいの?って聞かれたら・・・。
銀相場の10年の推移
地金の銀の相場は、2012年~2021年の推移が以下になります。
※ドル円の換算の違い、業者により違いがあるなど諸説あるため、参考値程度。
西暦 | 銀相場(年平均/1グラムあたり) |
---|---|
2012年 | 81.3円 |
2013年 | 75.8円 |
2014年 | 66.1円 |
2015年 | 62.7円 |
2016年 | 60.9円 |
2017年 | 62.8円 |
2018年 | 57.1円 |
2019年 | 58.1円 |
2020年 | 71.5円 |
2021年 | 90.3円 |
直近の2022年の値動きでは、90円前後といった状況です。
2012年以降下落が続いた銀相場ですが、ここ2年は上昇に転じています。数年前が60円、直近が90円とすると約1.5倍に。数年前に100万円分の銀を保有していれば、今では150万円の価値になっています。結構いいですよね。
銀相場は、何で下がった?何で上がった?
諸説言われていますが大きな要因では、2010年頃にかけて太陽光パネルの需要拡大。その後の需要一服。2020年、2021年の高騰は、コロナ禍に伴う資金流入。この辺り。
銀は太陽光パネルの部品にも使われていますので、需要があればある分必要になりました。相場というのは今後の需要拡大の期待も含めて反映される面もありますので、上がり過ぎた相場には調整もつきものです。2010年代中盤にかけての下落は需要の一服と言われたらその通りかもしれません。
また、コロナ禍で銀の相場が高騰していますが、コロナ禍の景気対策として各国で金融緩和が行われました。その結果、お金が過剰に供給され、その一部が銀にも流入したというものです。
加えて、昨今のインフレ懸念。
インフレになると物の値段は上がりますから金や銀も当然連れて上がります。相場を押し上げる要因の一つであるのは間違いありません。この他、コロナ禍では銀の特性である抗菌作用も衛生用品の需要に影響があったかもしれません。いずれにせよかなりの高騰ぶりを見せているのは確かだと思います。
太陽光パネルに次ぐ、電気自動車の部材の利用
今後10年くらいでガソリン車から電気自動車へ置き換わっていくと言われておりますが、車の部材として銀も少なからず使われています。(銀は、電気伝導性・抗菌性・腐食への耐性などに優れており、電気自動車の電気制御ユニットや充電コネクターや端子に使用されます)
もちろん、ガソリン車でも銀は使われており、電気自動車に置き換わるからといって莫大な需要が見込まれる程ではありません。しかし、ガソリン車より電気自動車で使われる銀の使用量は増えているとのことで、銀需要の高まりの見通しがあるとされています。
個人的には、銀相場が急騰するほどのインパクトはないと思っておりますが、電気自動車の需要拡大は銀相場の下支えには十分成り得ると考えられます。
「今は時期が悪い」相場急騰後には下落あり
では、今が買いかと言われたら「今は時期が悪い」そう答える人も多いと思います。明らかに昨今は高騰していますからね。それも急騰と言えるくらい急激に。
仮に、工業製品など産業面の需要で相場が上昇しているのであれば、緩やかな上昇をしていくのが自然だと思います。しかし、現在の相場はここ1、2年で形成されたもの。実需を超えての上昇と言えるのではないでしょうか。おそらく、コロナ禍の金融緩和で余ったお金が多く流入してのこの相場だと思われますが、投資や投機目的のお金が大分入ってしまっているのを考えると、世界の経済状況によっては、よりよい投資先が見つかれば売られるでしょうし、下落の可能性があれば高いうちに売っておこうと考える人も出てきます。
現在の相場が過熱感のあったものであると考えると
「今は時期が悪い」
そう言えるのではないでしょうか。
安全資産は買いでは?
ちょっと思ったのは、円安だしインフレだし、お金の価値は下がっている。海外では景気後退懸念もささやかれています。となると、安全資産である金の価値も魅力的です。銀も金より安価な安全資産として考えれば、そういった意味で需要がありそう。
お金や金融資産などの急激な下落が怖い。だから一定の価値のある金の現物に資産を変えておこうという考えの元だと思いますが、そう考えれば安全資産として買うのは悪くなさそう。でも、こういった世界情勢だから安全資産である金が変われやすそう、だから買い。となると目的が違います。投資や投機目的になるわけですね。
投資や投機目的であれば、投資商品の上昇が見込めないなら買う意味がなくなりますが、じゃあ今後の上昇余地はあるのかという話。
金は昨今の急騰ぶりが激しい。銀も同じく急騰ぶりが激しい。
上値を見込むならここ最近で急騰したくらいの資金流入が金銀相場に必要だと思いますが、大きな額が流入できる程の材料はないと思います。安全資産だからっていうのであれば、お金持ちもとっくに現金や金融資産を別の物に変えてしまっているでしょうから。
銀貨・純銀メダルはコレクションとしても
銀貨は、造幣局で発行されており、銀メダルは、造幣局や一部のメーカーで発売されています。行事や記念、節目の出来事などに関する図柄を銀貨や銀メダルに施し、精緻に仕上がっています。
また、それなりに大ぶりなものも多く、重さや重厚感を味わえる、工芸品としての魅力があります。図案は渋いものが多いですが、見て楽しめる方にもおすすめです。
国内の銀貨・銀メダルは、ここ50年くらいのものでもかなりの数が発売されています。そして、古い物でも異常なプレミアがつくことは少なく、一点一点はさほど高価ではないので入手もしやすいです。少しずつ集めていく楽しみもあると思いますので、コレクションとしてもいいですね。
銀貨・純銀メダルは、手元にモノがある安心感もあります。高価でもなく初期費用があまりかからないから手軽に始められるところもおすすめです。
趣味の一環として、資産運用としていいと思ってる銀貨・純銀メダルだと思うんですよね。