第八十一次製造貨幣大試験の際に記念品として製作されたのが、「黒釉七宝灰皿」になります。
この頃に製作された記念品は、前年度の小型ナイフや翌年度のベルトのバックルなどユニークなものが見受けられ、こちらの七宝灰皿も珍しい品になると思います。
なお、第八十一次製造貨幣大試験の開催は昭和28年のことであり、造幣庁から造幣局に移り変わった時期でもありました。
黒釉七宝灰皿の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。
第八十一次製造貨幣大試験「黒釉七宝灰皿」製品仕様
付属の目録には以下のような文言が書かれています。
七寶の字は、旧字体の宝が使われています。第八十一次の製造貨幣大試験ですので、1953年(昭和28年)頃のお品と思われます。灰皿の縁に配される10円硬貨の年式も「昭和二十八年」となっております。
第八十一次製造貨幣大試験「黒釉七宝灰皿」の外観
黒を基調に金彩が光る作り。図柄も造幣局らしさが垣間見られ、味のある一品。
表面
七宝は、黒の釉薬が使われており、図柄も10円貨幣が灰皿の縁に配されるシンプルなもの。
70年近く経っている品ではありますが、状態はとても良いものと思います。
三箇所の煙草の受けのつなぎ目は、経年により緑青(ろくしょう)と思われるカビが付着しますが、それ以外はいい状態を保っています。
灰皿の作りは、上面と底面、三箇所の煙草の受けを繋ぎ合わせたもので、特段変わった作りではありませんが、古き良き渋さを感じさせる品だと思います。
灰皿の縁には10円硬貨の図柄を配置。(写真は10円硬貨(裏面)の様子)
平等院鳳凰堂に唐草模様。1951年から続くお馴染みの図柄。
背面
背面は、艶消し金メッキ仕上げ。背面中央には、「造幣局製」と刻印があります。
共箱
共箱といっても蓋表に作品名が記されているわけではなく、普通の木製箱となっております。
蓋裏に、説明の用紙が添付。また、灰皿の下には黄色の布が敷かれておりました。
黒釉七宝灰皿は、珍品!?
骨董市やフリマサイト、オークションなどを除いてみてもほとんど見受けられない品ではないでしょうか。少なくても私はここ10年だとメルカリとヤフオクで出品があったのを一度見たくらいです。
地金的な価値はほとんどないと思いますし、コレクターがいるかと言えば少しわかりません。しかし、貨幣大試験の記念品で非売品でもありますし、とても希少な品であることは間違いないと思います。
フリマサイト、オークション等での実売価格
日付 | 取引価格 |
---|---|
2021/02 | 4,000円 |
2019/03 | 800円 |
出回ることは少ないと思いますが、価格はそこまで高くないようです。
以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)