第百十四次製造貨幣大試験 七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮の紹介

造幣局 七宝舞楽蘭陵王 貨幣大試験記念品
七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮

 第百十四次製造貨幣大試験の際に記念品として製作されたのが、七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮になります。

舞楽「蘭陵王」から勇ましく踊るその一幕を図柄にしたものですが、装束の赤が映え、柄の色使いも見事な作品です。

なお、第百十四次の貨幣大試験の開催は、1985年。
この年は前年度に行われた日中貨幣展を受け、上海博物館で中日貨幣展覧が開催された年でもありました。
蘭陵王を題材にされたのもこうした背景があってのことかもしれません。

七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮製品仕様

材質:丹銅
直径:約8.1cmx約6.5cm 厚さ約0.6cm
重さ:約254g
仕上:七宝・金メッキ艶消し仕上げ

以下、付属の栞には以下のような文言が書かれています。

『この文鎮の図は、「蘭陵王」単に「陵王」ともいわれる舞楽である。
一説に、中国「北斉」の蘭陵王長恭は、武勇・才智共に人に優れた美貌の持ち主であったが、戦場では恐ろしげな仮面を付けていた。ある時強豪周の大群を撃滅し勇名を転嫁にとどろかせた。舞楽「蘭陵王」はその時の雄姿を称えて作られた舞ともいわれている。
胡裲襠に袍、金色の竜頭の面を付け、右手に桴、左手に剣印を結び勇壮活発かつ華麗をきわめた舞で、おめでたい時に舞われる代表的なものである。
文鎮は、地金に丹銅を使用し、図柄を浮彫りにして七宝を盛り、周囲に金メッキを施し艶消し仕上げにした。』

蘭陵王について

七宝舞楽蘭陵王の表面
七宝舞楽蘭陵王(表)

宮島に訪れたことがある方は、フェリー乗り場で見られる蘭陵王の像が思い浮かばれるかもしれません。
「蘭陵王」は、舞楽の演目の一つであり、日本の古典芸能の雅楽を鑑賞される方も馴染みがあると思います。

姓名を高 長恭(こう ちょうきょう)※正確には、長恭は字。
中国の北斉の皇族、541年生まれ。560年に徐州の蘭陵王に封ぜられる。

徐州と言えば、三国志では演技の主人公である劉備が治めていた時期がありました。
現在は山東省と呼ばれ、省都は済南。港湾都市の青島は耳にしたことがある方もおられるかもしれません。

舞楽「蘭陵王」の曲の由来とされる伝承は、564年、北周との争いで包囲された洛陽に、蘭陵王がわずか五百騎で救援に向かい、見事大軍を打ち破るというものですが、眉目秀麗な蘭陵王は素顔だと兵の士気は上がらず、敵にも侮られるという理由から雄々しい仮面をかぶって戦っていたというものです。

舞楽「蘭陵王」では、この戦いの様を描いたもので、赤い装束に身を包んだ舞人が竜頭を模した面をかぶり、蘭陵王となって勇ましく踊ります。

七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮の図柄

勇壮に舞う姿を図柄に、袍や裲襠(うちかけ)、差貫の衣が見事であり、裲襠の龍紋、袍や袍の裾の窠紋の刺繍が施されています。

竜頭というより鬼面や奇面といった印象の仮面も細部にわたり彫りが入っており、造幣局の技術の高さを伺わせるものだと思います。

また、装束の柄の浮彫りもよくできており、合わせるように七宝が盛られているのが特徴的です。

七宝舞楽蘭陵王の表面
竜頭の面

竜頭の面も浮彫りがよく見てとれる。

七宝舞楽蘭陵王の表面
檜扇

動きのある姿と檜扇。

七宝舞楽蘭陵王の表面
指貫

裾の窠紋の刺繍。

七宝舞楽蘭陵王の表面

袍のはためき。

七宝 舞楽「蘭陵王」図入文鎮の採色

七宝舞楽蘭陵王の表面
全部で六色
赤、淡茶、橙、オリーブ、青、ベージュ、白 の6色。

七宝は、赤、淡茶、橙、オリーブ、青、ベージュ、白の六色になります。

竜頭の面や装束の柄には、浮き彫り部分の金彩も上手く使われていますので、色の数より鮮やかに見えると思います。

赤を基調とした彩色が見栄えし、浮彫りと七宝の盛りで立体感が伝わる良品と思います。

背面

七宝舞楽蘭陵王の背面
七宝舞楽蘭陵王(背面)

背面および側面は、金メッキされています。
また、側面には「造幣局製」の文字が刻まれています。

七宝舞楽蘭陵王の背面
造幣局製刻印

化粧箱

化粧箱
化粧箱

化粧箱は、外装がベロア生地、内装がベロアとサテン生地の一般的なものになります。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2024/09 6,250円
2023/07 6,950円
2022/06 12,550円
2022/04 12,500円
2021/10 7,000円
2020/09 9,800円
2020/07 10,595円
2020/07 11,050円

直近で確認できたところはこの8件でした。

私もここ数年定期的にチェックは続けておりますが、見かけること自体が珍しい品です。
価格も他の七宝工芸品(丹銅製)のものと比べてもやや高めな印象です。(直近の8件のみを見る限り)
かなり希少なものには変わらないと思いますので、入手機会は限られると思われます。

以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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