造幣局 七宝章牌 秋田竿燈まつりの紹介(2014)

造幣局 七宝章牌 秋田竿燈まつり 七宝章牌
七宝章牌 秋田竿燈まつり

 造幣局製の七宝章牌は、平成21年度より日本の『祭』をテーマとして販売されております。

本作で六作品目となる秋田竿燈まつりですが、これまで「仙台七夕まつり」「青森ねぶた祭」が販売されていますので、東北三大祭りが出揃うこととなりました。
章牌の図柄は、夜に行われる竿燈を担ぐ差し手の勇壮な姿と共に描かれています。

七宝賞牌 秋田竿燈まつりの仕様や図柄、彩色、デザインについてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

七宝章牌 秋田竿燈まつりの仕様

メダルの図柄と仕様
メダルの仕様
材質:純銀
直径:60mm
重さ:約160g
仕上:七宝・金メッキ仕上げ

付属の栞による説明

『この七宝章牌は、「秋田竿燈まつり」を題材としてデザインし、製造いたしました。
「秋田竿燈まつり」は、「仙台七夕まつり」「青森ねぶた祭」とともに東北三大祭りの一つである夏祭りです。その歴史は江戸時代に遡るとされており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
この祭りは、秋田県秋田市で八月三日から六日の四日間にわたり開催され、主会場の竿燈大通りは二百六十を超える竿燈で賑わいます。』

七宝章牌 秋田竿燈まつりの図柄(外観)

秋田竿燈まつりの表面
秋田竿燈まつり(表)
【表】
 竿燈と群衆で賑わう竿燈大通りを背景に、差し手が竿燈を巧みに操る様子を 七色の七宝による豊かな色彩と熟練した技法で表現しています。
秋田竿燈まつりの裏面
秋田竿燈まつり(裏)
【裏】
 中央に「秋田竿燈まつり」の文字を配し、周囲に五種類の竿燈の技(右から「流し」「額」「肩」「腰」「平手」)をデザインしています。

図柄の背景色(赤)について

秋田竿燈まつりの表面
赤が印象的な夜空

初めて見た時に興味深く思ったのは、夜空の背景色が赤を基調としているところ。

章牌の図柄の説明(竿燈と群衆で賑わう竿燈大通りを背景)から、夜に行われる竿燈を描いたものになります。

であるなら、夜空は黒や濃紺であるのが自然で(夕方だとしても淡い赤紫)、赤を使うのは本来であれば妥当ではないような気もします。

しかし、なぜか、竿燈と差し手の技の図柄に赤を基調とする背景が妙にマッチして、祭りの情熱や熱気がよく伝わる色使いになっていると思いました。

竿燈の提灯は夜になると灯りがともり、暖かい暖色の色と共にゆらゆらと中空を舞いますが、提灯のお色に暖色系をほとんど用いず、背景に赤を使うのは大胆な色使いと言えるのではないでしょうか。

七宝章牌 秋田竿燈まつりの採色について

先に背景色に触れてみましたが、詳しい彩色は以下の通りになります。

秋田竿燈まつりの表面
秋田竿燈まつり
赤透、銀白透、黄橙透、青、薄青、黒、空淡 の7色。

※製品仕様に記載がないため、七宝釉薬の絵具サンプルを確認して色を判断しております。

どの部分にどの彩色が使われているか見てみると

差し手 銀白透、青、薄青、黒、空淡
竿燈 赤透、銀白透、黄橙透
背景 赤透

といった配色と思われます。

特に珍しい点は、人物の肌色を表現されている部分。
過去に七宝章牌「能楽」でベージュを用いて肌色を表現されたことがありましたが、それ以降の章牌では金彩を用いて表現されてきました。
本作では銀白の透け七宝が使われていると思われますが、陰影が見て取れる感じは絶妙な色使いと言えると思います。

(能楽でベージュ。文楽、歌舞伎では、おしろいを白の七宝釉薬で表現されておりました)

秋田竿燈まつりの表面
差し手の色使いの妙味

七宝章牌 秋田竿燈まつりのデザイン(解説)

秋田竿燈まつりの表面
秋田竿燈まつり

差し手が竿燈を巧みに掲げる様子は、竿燈の技「腰」を使ったものになります。
足・腰・両手の様子から、50kg程の竿燈のバランスを上手に取る姿が見てとれます。

また、竹に吊るされる提灯のデザインは秋田市竿燈会のものになります。
実際の祭りでは提灯に各町の町紋が描かれており、38町内のそれぞれの町紋に個性が味わい深いものでもあります。

背景には複数の竿燈と群衆で賑わう竿燈大通りが描かれますが、五穀豊穣を祈願する稲穂の様子が伺えます。

群衆の細かい彫りも見事だと思いました。

秋田竿燈まつりの表面
竹に吊るされた提灯

提灯は写実的であり優美なデザイン。

秋田竿燈まつりの表面
背景の竿燈と群衆

背景の群衆と複数の竿燈が祭りの賑やかさを伝えてくれます。

背面のデザイン

秋田竿燈まつりの裏面
竿燈の技

背面は、差し手による五種類の竿燈の技が描かれています。

右から順に「流し」「額」「肩」「腰」「平手」

「流し」は図柄に表現すると手に持っているだけに見えますが、実際には竹を握った手を緩めて滑らせるように動かす技です。

祭りの一端を伺えるデザインになっているところも楽しめるものだと思います。

秋田竿燈まつりの裏面
秋田竿燈まつり

力強い書体。

秋田竿燈まつりの裏面
造幣局製刻印

七宝章牌 秋田竿燈まつりの販売価格について

2014年(平成26年)に販売された価格は、128,000円(税込み、送料込み)。

また、当時の販売予定数量は500個でした。
「お申し込み状況によっては、数量を変更する場合があります。」の但し書きがありましたので、数量は販売予定数を前後している可能性があります。

※造幣局HPの販売情報には、抽選に関する記載は見当たりませんでしたので、少なくても大幅に数量が超過することはなかったものと思われます。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2024/03 48,300円
2024/01 34,100円
2023/12 53,101円
2023/12 53,400円
2023/11 47,000円
2023/06 57,000円
2022/01 38,000円
2023/02 35,088円
2022/10 36,510円
2022/10 40,010円
2022/10 40,550円
2022/09 41,300円
2022/02 40,000円
2022/02 40,500円
2022/01 38,000円
2021/01 41,500円
2020/10 41,000円
2020/09 51,000円
2019/08 27,778円
2019/08 30,000円
2019/07 30,000円
2019/02 29,050円
2019/02 40,000円
2017/09 37,000円
2017/06 41,500円
2017/01 31,500円
2017/01 30,500円
2016/10 21,000円
2016/07 39,500円

直近で確認できたところはこの29件でした。

平均すると約40,000円くらいが実売価格と言えそうです。昨今は地金の価格も騰がってきていますので、七宝章牌も徐々に値上がり傾向にあると思われます。

今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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