※2024年3月21日投稿
2024年初より売られ過ぎ感のあった銀の価格が上昇してきました。金価格の上昇に比べて出遅れた値動きでしたのである程度は納得感のある上昇だったのかもしれません。
上昇の理由の一つに銀の供給不足。ここ最近は毎年のように供給不足のニュースがあるためどこまで価格への影響があるかは疑問ですが、2021年以降は供給不足が続いているとされています。銀の需要の約半分は工業用用途と言われておりますので、単純に考えれば上昇要因の一つになってもおかしくありません。
次にインフレ。しぶといですね。アメリカでも利下げにまだまだ強気になれないくらいインフレが根強いようです。インフレはあらゆる物の価格を押し上げますが銀とて例外ではありません。それにインフレによる賃金上昇は採掘コストにも影響があります。コスト増は銀価格の上昇につながります。
もう一つが戦争。ロシアとウクライナの戦争やガザ地区の紛争など地政学リスクは依然として高まった状況が続いています。投資家は資産を保護するために安全資産である金や銀の保有割合を少し増やしているかもしれません。
とはいえここ数年の銀価格は、下限が1トロイオンス20ドル、上限が26ドル程とレンジ相場のような値動きです。上抜けが難しいのであれば現状の25ドルオーバーはいいところなのでしょう。色々と上昇理由はあるのかもしれませんが、金のようにニュースになったり過去最高を記録するまでに高騰を見せないのはなぜでしょうか。
例えば、インフレが上昇要因ではありますが、その反面として金利の上昇がついてきます。現物の地金には金利が付かないため高金利の環境下では不人気です。また、戦争に関してもロシアとウクライナの戦争が始まった2年前よりは地政学リスクを気にする人は減ってきたと思います。継続中の問題ではありますが、さらなる戦火の拡大がなければ戦争による安全資産への流入は一服感があるのかもしれません。加えて、世界の鉱工業の動向です。中国経済が冴えません。世界の工場とも呼ばれる中国経済が停滞すれば実需の面ではマイナス。工業用用途の多い銀は金より景気に左右されやすいです。この辺りは回復の兆しがあるかどうかで動向は変わってくるものと思われます。ただし、冒頭でも記載した通り銀は供給不足と言われております。工業用の需要減退どころか足りないじゃないかという話も。脱炭素化やカーボンニュートラル、グリーントランスフォーメンションなど環境を考慮した政策などを見聞きすることも多く、太陽光パネルなどの需用は以前として強いということでいいのでしょうか。(この辺りがどんな塩梅なのかがわかりにくい)あとは、株高。世界的な株高と言える様相だと思いますので、金や銀より株への投資割合を増やすという方も多いような気もしますが。(そうなっていないようですけど)
個人の感覚的にはインフレ懸念が根深く、金利の上昇や中国経済の不安、株高などのマイナス要因を相殺するような形で極端な下落もなく急騰もなくのような値動きをしていると思っています。それともう一つ加えるなら「貯蓄から投資へ」少し前によく聞かれた言葉ですが、本当にその流れが起きているとか。現金で持っていると目減りしやすいので現金以外の資産形成が幅広く浸透し始めているかもしれません。そうであるとすれば現金の信認度合は以前よりも揺らいでいるということになりますが・・・。
現物保有のホルダーとしては上昇は大歓迎なのですが、思ったより上がらないし思った程下がらないみたいな感じになるような気がしています。
上場投資信託(ETF)への資金流入なども大きな要因だと思いますが、この辺りは上昇しすぎたら必ず売りが入りますからね。投機家もいれば手じまいもあるので難しいのだと思います。