最高値更新を続ける金価格上昇についての覚え書き

金とチャート ブログ
金とチャート

※2024年3月14日投稿

 3月5日、田中貴金属工業が金の店頭販売価格を1グラム当たり11,287円に設定したとの報道がありました。直近でも3月12日には、11,386円をつけるなど過去最高値の更新が続いているような状況です。
また、最近では「買取店に金を持ち込む人がぞくぞく」のようなニュースも散見されるようになり、一頃のドルやユーロの換金売りの様相を呈しています。

なぜここまでの上昇を見せているかですが、半年程前に個人的に勝手に覚え書きしておいたメモがあります。

金価格上昇の理由と今後の覚え書き
※2023年7月13日投稿  6月17日、田中貴金属工業が金の店頭販売価格を1グラム当たり9,876円に設定したとのニュースは記憶に新しく、過去最高値を更新しておりました。その後も高値圏を推移しており、7月5日は再度高値更新の動きを見せて9...

当時の私の見解によりますと、

  • 地政学リスクの高まりにより買われている。
  • 各国の中央銀行の買い増し。
  • インフレでモノの価格が上がれば金も上がる(だから買われる)
  • 中国国内での金ブーム。
  • アメリカの利上げ停止までがピーク(今がピークに近い)
  • アメリカのインフレ脱却がソフトランディングで利下げに転じれば株買い。
  • 株高の流れが起これば金が売られる(金を売って株買い)
  • 金鉱株の下落も気になる。

とのことでした。半年くらい前が金価格のピークだと考えていたみたいなので全くの検討違いというわけですね。

ただ、当時の自分を擁護してあげるとすれば・・・

地政学リスクは、ロシアとウクライナの戦争は継続しておりガザ地区のイスラエルとの紛争も今でも続いています。台湾の問題も何かが変わったわけではありません。少し離れた場所でも西サハラの問題は続いたままです。
それに、中央銀行の金の買い増しは以前として続いています。中国国内の金ブームは、中国経済の減速も重なって株や不動産投資から金への投資に移り変わっているのにも変わりありません。
また、アメリカのインフレ脱却は今のところソフトランディング路線。利下げ期待もあって株高の流れが今年に入ってから顕著になりました。
しかし、株高の流れで金を売って株に投資するようなことではなく、引き続き金の需用が旺盛というのがわからないものですね。(一体、お金はどこからやってきているのでしょうか・・・)

金鉱株に関しては、もの凄い単純な考えをすれば、金の価格が上がれば金の採掘や精錬を行っている企業の業績も上がるはず。という話。
しかし、そうなっていないのが昨今の金鉱株相場で、世界最大手と呼ばれる金鉱山の会社ニューモントも国内株の住友金属鉱山もコロナバブル後は一転して下落が続いています。なぜなのでしょうか?
単純に1グラム8,000円で売っていたものが、1グラム10,000円で売れるとなれば2割以上高く売れることになるはずです。でも、それは採掘コストが変わらない前提があってのこと。昨今のインフレで労働者の賃金が上がりました。採掘作業は労働集約型です。コスト上昇につながります。加えて、採掘には電気の使用も不可欠です。電力価格は原油やガスなどの価格の上昇により上がっています。採掘コストも上昇してしまっているわけです。特に労働者の賃金部分で言えば今後アフリカなどの新興国の賃金上昇が続けば採掘コストも上昇が続いてしまうということでしょう。

さて、ここからは投稿時点の覚え書きを残しておこうと思います。

まず、実需の面(宝飾品の売り買い)から考えるとコロナバブル、アフターコロナを経ておりますので、特需のような買いは起きないのではないかと思います。(地政学リスクやインフレヘッジなどは別の話)
次に、各国の中央銀行の金購入は、引き続き積極的に行われているニュースもあります。アメリカの利下げ開始も近付いてきていることを考えると債権から金への資金移動も含めて継続して行われてもおかしくないと思っています。
さらに、様々なリスク面を考えると地政学リスクの高まりや景気後退などの懸念が再燃すれば、資金の逃避先として金の需要は高まります。年初より特別なリスクの高まりを見せない中での金価格上昇でしたので、地政学にしろ金融市場にしろ何かしら悪化してしまう局面があれば金価格のさらなる上昇はあり得るでしょう。
地政学に関して追記すれば、米中対立は一服感があるのが現状でいつ再燃するかもわかりません。また、各国の軍備増強は過去最大です。2023年の世界の軍事費は約329兆円と報道されています。世界はそんなに戦争をしたいのでしょうか。

金の産出量は限られていると言われています。加えて、人工的に金を精製することは可能と言われていますが現時点では確率はされていません。
長期的には上昇する見込みであるのは全世界の共通認識くらいの話かもしれませんが、様々な思惑で価格は上下します。個人としては金の宝飾品をお持ちであればお守りくらいの感覚で長期保有しておくのがいいのかなと考えております。

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