造幣局 狩猟文文鎮の紹介

造幣局 狩猟文文鎮 その他記念品
狩猟文文鎮

 本文鎮は、正倉院南倉に伝わる狩猟文銀壺から図柄を採用されたものになります。

狩猟文銀壺は、正倉院宝物の中でも最大の古銀器であり、日本中を見ても最高峰と呼ばれる銀壺として有名です。

狩猟文文鎮の仕様や図柄、彩色、デザインについて写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

造幣局製 狩猟文文鎮について

文鎮の図柄と仕様
文鎮の図柄と仕様
材質:丹銅
直径:約6.3cm×6.3cm
重さ:約203g
仕上:七宝・金メッキ仕上げ

以下、付属の栞による説明

 この文鎮は、正倉院御物の中の狩猟文銀壺から図柄を採用し、当局の伝統的技術によって製作したものであります。
もとの狩猟文銀壺は、銀製鉄鉢型の大壺で、獣と人を中心に山、雲、草、鳥を配した狩猟の様子が彫られ、地には一面の魚子(小さな粒状の模様)が打たれています。
 本文鎮の製作に当つては、透明七宝を用いて底地を効果的に現わし、黄緑と金茶の二色を組合わせて、七宝と地模様をずらして、動きのある自由な感じを出すことに努めました。
 地金は丹銅で、周囲と裏は金メッキを施しました。

原図「狩猟文銀壺」

外箱
外箱

本作の原図である「狩猟文銀壺」(しゅりょうもんぎんこ)は、中国・唐で作られた説があり、遣唐使によって持ち帰られたとされています。一方、近年の研究では奈良時代に国内で制作された説も打ち出されております。

銀壺は、二口あり(便宜上、甲・乙号と呼ばれる)どちらも胴径60センチ超であり、宝庫伝来の古銀器の中で最大とされ、重さは約37キログラムもあるかなり重たい容器を成しています。

図柄は、甲・乙両号の器面全体にそれぞれ12騎ずつの騎馬人物が、鹿・猪・羊などの動物を追って、山野を駆け巡る姿を表しています。
器面を絵巻に見立てた構図ではありますが、騎馬人物や動物の姿は繰り返し使われている部分も見受けられ、一巻の狩猟図としては独創性に欠けるとの指摘もあります。
何かしらの原図があり、それを元に合成や転写を繰り返して作られたようにも見てとれ、こういった考察から国内で制作されたものではないか?と議論されているようです。

狩猟文文鎮の図柄

狩猟文文鎮の表
狩猟文文鎮

原図から一部の絵柄を採用されております。
騎馬人物が後方に向かって矢を射る姿と巻角をもった山羊の座る姿が見られます。
また、背景の一部のような草花、鳥、蝶の姿も見られ、一定のパターンを持った構図は原図の通りと言えると思います。

狩猟文文鎮の表
騎馬人物が矢を射る姿

図柄の線彫りもかなり忠実に描かれているように見えます。
七宝と模様がずれているように見えるのは、作品の説明によると動きのある自由な感じを表現するためにあえてそうされているとのことです。
しかし、原図でもこういった表現はなく、騎馬人物や動物などがぼんやり浮かび上がるような感じは伝わるものですが、ともすれば雑な七宝の盛りとも捉えられかねない難しい表現であったようにも思います。

狩猟文文鎮の表
山羊の座る姿

七宝と模様のずれが見て取れる。

狩猟文文鎮の表
緑青

文鎮の周囲には経年の緑青が見られる。

狩猟文文鎮の採色

狩猟文文鎮の表
七宝の彩色
黄緑と金茶の二色。

七宝は、黄緑と金茶の二色になります。

透け七宝を用いて下図を透かしておりますが、模様とずらすために用いた金茶の七宝は、手作業であるためか品により微妙な差があるようです。
この辺りは、手作業による釉薬の盛り付けと七宝の焼き付けの仕上り具合で変わってくるところと思いますので、品によって良し悪しや味わいが出るところなのかもしれません。

狩猟文文鎮の背面

狩猟文文鎮の裏
金メッキ仕上げ

背面および側面は、艶消し金メッキ仕上げ。

狩猟文文鎮の裏面
造幣局製刻印

側面に「造幣局製」の刻印。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2022/02 4,200円
2021/06 3,655円
2021/02 5,750円
2020/09 2,095円
2017/11 4,400円

直近で確認できたところはこの5件でした。

かなり古い品で、製造数も限られていたと思います。なかなかお目にすることがかないませんが、5,000円前後が取引価格になっていると思います。

狩猟文文鎮の表
下絵に動植物

以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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