造幣局「翁面」電鋳板の紹介

造幣局 翁面 電鋳板 その他記念品
翁面 電鋳板

 五穀豊穣を願う翁舞。

翁舞に用いる老人の面(翁面)は、古くは平安時代製作のものがあり、鎌倉・室町時代といった現存する面は重要文化財として国立博物館等で所蔵されているものが多いと思います。

造幣局製の翁面は、こちらで紹介させていただく電鋳板の他にも章牌のようなプレート型や立体的な小型の能面(金属工芸品)のものも制作されておりました。
大変渋い一品と思いますが、飾り額として縁起の良い品でもありますね。

造幣局 翁面の仕様について写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。

造幣局 翁面 電鋳板の仕様

電鋳板の図柄と仕様
翁面の仕様
材質:純銅(翁面本体)
額装:約26.0㎝×21.3m
翁面:約11.5㎝×8.5㎝
作者:秋年(原型制作者の号)

作品に付属する説明書きは二種類ありました。以下ご参考。

電鋳板「翁面」について

◆この製品の図柄は、能楽の翁舞に使う「翁面」を型どったものです。
 翁舞は、五穀豊穣、不老長寿、天下泰平を祝祷するお目出度い舞ですが、「翁面」はその舞に着用されるにふさわしくいかにも福徳円満な相貌をしています。
◆この製品は、電鋳という技法を使っておよそ次の方法により制作した渋味のある優雅な工芸品です。
 まず始めに、実物のデッサンをもとに油粘土で原型を作ります。そして、その原型から石膏等で型をとり、表面の電気の伝導材や剥離剤の塗付等の加工を施して電鋳用の型を作ります。
 次に、その型を陰電極とし、陽電極には銅板等を使用して硫酸銅の溶液中で電気分解を行い、型に純銅を電着させます。
 それを型から剥し、表面を丹念に仕上げたうえ薬剤で煮込着色(カメレオン着色という。)をして最後に防錆塗装をします。
 なお、製品中に「秋年」とあるのは、原型製作者の「号」です。

翁のできるまで

この翁は純銅を用い、次の方法により作り上げた渋味のある優雅な工芸品であります。
 先ず始めに油土(油粘土ともいう。)を用い、基礎原型を作ります。これは石膏原型の基礎となるものであつて極めて重要な意義を有するものであります。
 従つて彫型の専門家が微に入り細に渉つて入念に作り上げます。翁はもとよりこの種の工芸品のすべて基礎原型の出来如何が製品の出来栄えを左右しますので最新の注意と特別の努力を必要とするものであります。なお製品(翁をいう。)中『秋年』とあるのは原型製作者の『号』であります。
 模て油土原型ができ上ると、これに石膏を流し込み、凹凸両型をとります(これを石膏成形作業という。)この作業は数回ないし十数回、繰り返し行われ、凸型ができ上ります。更にこれを原型として石膏で凹型をとり、よく乾燥させた上「白蝋」の溶液に浸し、蝋を十分浸透させ気孔を完全に塞いだ後、蝋液中より取出して冷却します。
 このようにしてでき上つた凹型石膏原型の表面に黒鉛粉を塗り銅板と共に硫酸銅の溶液槽に入れ電流を通じ百時間程そのままにして置くと凹型の表面に銅が付着する(大体二・三耗の厚さとなる。)これを槽より取出し凹型より剥離する。
 剥離した銅の部分(電鋳板という。)をサンドペーパー等によつて長時間に渉つて充分研磨した上薬液で煮沸着色し、透明ラツカーを塗付して仕上げます。

数十年前によく用いられた翁面の記念品

翁面の裏
造幣局謹製

造幣局の翁面は、数十年前の記念品としてよく用いられたからなのか電鋳板にしろ章牌にしろ、今でも出品されているのをよく見かけます。
比較的よく見られるのは、大蔵省(現:財務省)の退職記念品のものです。

掲載させていただいた作品は、枠(レリーフの貨幣)の菊柄の50円が昭和34~41年、稲穂の100円が昭和32~41年のものと思われますので、昭和40年くらいの作品と思われます。

落ち着いた雰囲気の額や色使いを見ると渋い飾り額と言えそうですが、記念品として頂戴した方々のお宅ではどこかに飾られていることがあったのかと思うと時代を感じさせますね。

造幣局 翁面の細部の作り

翁面の表
福顔

翁面を近くで見てみると案外作りは簡素な感じを受けます。
年代を感じさせない綺麗な状態だとは思いますが、細かい部分ではやや粗さが見られるものです。

翁面の表
飾りとも思える豊かな眉

眉の部分の作りを見ると細部までの彫りはそこまでないのが分かります。

翁面の表
顎髭の部分

顎髭の部分も同様に、ある程度束ねた描き方に見えると思います。

翁面の表
レリーフの貨幣

また、枠にあしらわれるレリーフの貨幣も写真の通り。精巧とまでは言えない作りだと思います。

翁面の表
菊の花

それから作りとは関係ありませんが、翁面にデザインされるご老人の多くが鼻を大きめに作られていると思うのですが、造幣局製の翁面も例に漏れず大きめなだんご鼻といった感じがします。

フリマサイト、オークション等での実売価格

日付 取引価格
2024/02 910円
2024/02 5,250円
2023/12 1円
2023/12 1,155円
2023/07 314円
2023/05 1円
2023/04 1円
2023/04 600円
2023/03 770円
2023/02 2,571円
2023/01 608円

直近のものを確認してみましたが価格はまちまちのようです。1円のものもありましたが送料の関係で価格は変わってくると思われます。

なお、造幣局の価格表(2023年4月時点)によれば、翁面(中)40,300円、翁面(大)54,300円の販売価格で掲載があります。

以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)

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