第五回東京国際コイン・コンヴェンション(1994)の記念の品として発行された「鳳凰と桐」になります。
東京国際コイン・コンヴェンションは、コインの日である5月1日前後に毎年開催され、日本橋のロイヤルパークホテルには国内外の造幣局やコイン商が集い、展示即売会が行われます。第五回の東京国際コイン・コンヴェンションでは、「日本の金貨・円の誕生」と銘打ち、1871年公布の新貨条例、近代貨幣制度の成立に伴い発行された円貨幣が多く展示されておりました。
こちらで紹介するのは、本開催の記念品でありました「鳳凰と桐」になります。表に鳳凰図、裏に桐と天皇陛下御即位記念金貨幣と同じ図柄(表面)を配します。
鳳凰と桐の仕様や図柄、彩色、デザインについてなど写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。
鳳凰と桐 メダルの仕様
貨幣、記念メダルに採用される鳳凰の図柄
製品の仕様説明にもあります通り、表面の図柄は、天皇陛下御即位記念金貨幣(平成2年発行の10万円金貨)と同様のものが配されます。
鳳凰の起源は中国に有り、四霊(しれい)または四瑞(しずい)を表し、麒麟・鳳凰・霊亀・応竜の四種の霊獣とされます。また、麒麟=信義、鳳凰=平安、霊亀=吉凶、応龍=変幻を表すとも言われます。
鳳凰は、天子が即位する際に舞い降り、平安の世が築かれるとされています。(中国の伝承より)平安、繁栄、財宝を象徴するとも言われ、皇室に相応しい意匠として日本でも長く用いられてきました。
なお、天皇陛下の御即位に記念する金貨幣については、ほとんどのものに鳳凰の図柄が用いられます。(上皇陛下(平成の時代)在位時に発行された金貨幣は、全て鳳凰の図柄が用いられています)
鳳凰の止まり木である桐
桐と言えば、贈答品を収める箱や書道具の箱、掛け軸などの骨董品や着物など大切な衣類を収める箱として使われます。桐の特徴として、機密性が高く湿気を通さず、腐食にも強い成分が多く含まれ虫食いにも強い。かつ、軽量であるため古来より用いられておりました。
実用性に優れていることも確かですが、鳳凰に由来するところでは、鳳凰は桐の木を止まり木として巣を作るとされ、古来より神聖視されてきたというものでもありました。
鳳凰と桐の図柄では、桐の花と葉を写実的に浮き彫りされております。
金貨幣との違い(鳳凰の図柄の違い)
本作と天皇陛下御即位記念金貨幣(平成2年発行の10万円金貨)とで、元となる構図の違いはありませんが、本作がレリーフ(浮き彫り)であることや大きさの違いから細部で違いがいくつか見受けられます。
金貨幣では描けなかった、鶏冠や目元、肉髭が良く描かれているところが特徴的です。
足元では、指先の部分が一本一本力強く描かれております。特に左足は動きがついているため躍動感があります。
浮き彫り仕様であるため、鳳凰の胴体や腿に肉付きが見られ、より写実的であり、見栄えがするものになっております。
瑞雲も同様に、浮き彫りにより陰影がつき、動きのある雲がより詳しく描かれました。
全体的に大きな違いはありませんが、浮き彫りの良さを生かし、細かい部分を鮮明にされておりました。
印象的な桐のデザイン
背面の桐のデザインも美しく、こちらも見て楽しめる良さがありいいものですね。
花軸からのびる花柄まで表現され、花弁の一枚一枚に動きがあり、外側にめくれる様子などが丁寧に彫りあげられております。また、葉の部分も陰影をつけ縁取りは暗く、遠近感が伝わり、章牌から浮き上がるかのような感じが見て取れます。
花弁が細部までよく作られている。
見事な浮彫り。
造幣局ホールマークは右下に刻印。
フリマサイト、オークション等での実売価格
日付 | 取引価格 |
---|---|
2022/08 | 18,000円 |
2019/10 | 17,000円 |
2019/04 | 18,500円 |
2018/05 | 20,000円 |
2018/04 | 20,000円 |
2018/01 | 9,000円 |
2017/12 | 17,000円 |
2017/10 | 18,000円 |
2017/08 | 22,120円 |
直近で確認できたところはこの9件でした。
発行数は不明ですが、会場での販売のみであったことを考えると、出回ることが少ないですね。取引価格もまちまちですが、量目、希少性(販売数300)を考えると妥当なところと思います。
今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)