襖絵や障壁画で有名な群虎図と言えば江戸時代初期の絵師、狩野探幽の作品。元離宮二条城の襖絵や南禅寺の小方丈障壁画があります。造幣局製の群虎図では南禅寺所蔵、小方丈虎之間にある水呑の虎を窺う右手の虎をモチーフに制作されております。
造幣局 群虎図(電鋳板)について写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。
造幣局 群虎図 電鋳板の仕様
狩野探幽作「群虎図」について
狩野探幽(1602~74)は、桃山時代の巨匠・狩野永徳の孫としても知られ、若くして徳川家康公に謁見した幕府の御用絵師でありました。幕府の御用絵師であることから襖絵や障壁画などスケールの大きい作品が今でも残っており、その一部は展示される美術館等で見ることができます。
襖絵や障壁画では、江戸城・二条城・名古屋城での制作の他、大徳寺の方丈障壁画、妙心寺法堂の鏡天井(雲龍図)、南禅寺の群虎図など寺院でも見られます。作品の多くが重要文化財に指定され、多くの方の目に触れてきた大作だと思います。
南禅寺の群虎図は、全部で襖絵が40面にもなる作品です。様々な顔を見せる虎達は、竹林を悠然と歩く姿や鋭い眼差しをたたえる虎、眠る虎、前のめりに水を飲む姿、それを窺うかのような立ち姿、2匹でじゃれ合ったりする虎もおり楽しげであり安らかであります。また、堂々と迫力ある姿や豊かな表情から400年を経た作品とは思えない虎達の様子が見事な作品です。
他の虎図では、元離宮二条城大名控えの間の襖絵、別名虎の間と呼ばれる遠侍(とおさぶらい=武士の詰所)の一間に配される作品も有名です。
造幣局 群虎図の細部
立ち姿の美しい虎。造幣局製の電鋳板では配色こそ限られておりますが、浮彫りを使い金彩の体がよく映えるような形となっています。虎の表情は目を見開くような眼差しで勇壮な姿を見てとれます。
虎柄は控えめかもしれませんが、細部もよく彫り込まれているのがわかると思います。
前足の形もよく作られております。
竹林の様子も浮彫りにより表現され、立体感のある作りであるのがわかります。
尻尾や竹の葉、細部も良く作られている忠実に再現された作品であるのがわかります。
竹の子は、よく見ると竹の皮の部分は銀彩を控えており、銅色のような色味になっている点もよく作られていると言えますね。
造幣局 群虎図の額装(背面)
額装の背面は、電鋳板を止めるビスと紐。特に変わった点はありませんが状態良く保管できていてよかったです。
フリマサイト、オークション等での実売価格
日付 | 取引価格 |
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2019/07 | 1,500円 |
造幣局製の群虎図(電鋳板)は、調べてみた限りではほとんど出品されていないようです。同じ構図のものでは日曜表メダル(昭和49年発行の干支メダル)もありましたが、電鋳板はあまり見られないようでした。
また、写真のものは虎が金彩ですが物によっては背景、竹林を含めて全て同色(銀や銅)で作られているものもあるようでした。
以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)