造幣局製の電鋳板「鴛鴦(おしどり)」おそらく20年以上前に作られたもので、企業や団体において優れた業績や功績を残された方への記念品に用いられたお品だと思います。
昨今はこうした記念品は企業や団体も贈呈品に用いることが少なくなったかもしれませんが、昭和や平成の初期くらいまでは結構見られたものだったと思います。(出回っている品も多くが古い品です)そんな私も業績や功績を称えて記念品にいただいた・・・ということは残念ながらなく、古物で入手したものになります。
造幣局 鴛鴦(電鋳板)について写真と共に記載いたしましたので、お時間あればご拝読お願い申し上げます。
造幣局 鴛鴦(おしどり)電鋳板の仕様
造幣局の電鋳板について
造幣局の電鋳板の古くは、大正時代末期より製造されているそうです。(最初に製造された電鋳板は、うさぎをモチーフにした作品でした)現在も大相撲の優勝力士へ肖像のレリーフを贈呈されるなど、記念レリーフや装飾品の様々な電鋳飾額が製造されています。
造幣局の電鋳飾額の製造主旨は、貨幣製造や勲章製造における技術の維持、練磨の一環であると思いますが、偽造防止技術の高度化や精密加工技術の向上により電鋳飾額についても魅力的なデザインの作品が制作されていると思います。
また「飾額(電鋳板)の出来上がるまで」の解説書の記載の通り、電鋳板は油粘土の原型を元に石膏を流し込んで作られます。その後、電解液中で原型の表面にメッキをすることで金属が電着しますが、それを剥離させて作製するというものです。金属の層の厚さは1mmから1.5mm程のため原型とほぼ変わらぬ凹凸を再現できます。このため電気鋳造は工業製品にも広く用いられております。
造幣局製の電鋳板は、純銅を用いられることが多いのですが、工業製品ではニッケルがよく用いられているそうです(強度や耐熱性、耐食性に優れる)。
造幣局 鴛鴦(おしどり)の図柄
最初に見た印象は、とても渋い風合い。雄鶏は奥、体の大きさや翼の先の風切羽の特徴から奥がオスで手前がメスだと思います。また、顔立ちも忠実に再現された結果なのか無表情な感じにリアルさが窺えます。雄鶏を中心に寄り添う雌鶏といった構図になりますが、向き合う姿が仲睦まじさを表すおしどり夫婦といった感じなのかもしれません。
また、背景は特に細工があるものではありませんが、体の周囲は湖面の揺らぎがあるかのような表現をされており、浮彫りと相まって浮かぶ姿に見えると思います。
造幣局 鴛鴦(おしどり)の細部
顔立ちは野生の精悍さが伝わるようなリアルなものでやや下向きの口ばしも特徴がよく出ています。羽毛は、頬から胸にかけて細かく再現されております。
雄鶏の体はやや大きく、翼の先が立つような形が印象的です。
雌鶏の背中は、羽毛の模様がわかるように彫りこまれており、浮彫りの凹凸によりふっくらした体に見せる表現も見事だと思います。
それから、これは写真の撮り方によるものかもしれませんが、浮彫りによって体の影になる部分が見てとれ立体感のある作りであるのがより伝わります。この辺りも金属工芸の良さの一つだと思いました。
造幣局 鴛鴦(おしどり)の額装(背面)
額装の背面は、電鋳板を止めるビスと紐。特に変わった点はありませんが状態はまずまずかと思います。
フリマサイト、オークション等での実売価格
日付 | 取引価格 |
---|---|
2020/12 | 1,900円 |
2019/07 | 2,100円 |
2017/11 | 5,000円 |
造幣局製の鴛鴦(電鋳板)は、調べてみた限りではほとんど出品されていないようです。とはいえ希少価値がつくようなものではないと思いますが、一つ二つ上の世代のお宅に眠っているかもしれません。
以上、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。ご拝読ありがとうございました。(管理人)